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大病患い人生のどん底でもディズニー・オン・クラシック2024が効く
大病患い人生のどん底でもディズニー・オン・クラシック2024が効く
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どうも、竜原です。 色々わけあって、「ディズニー・オン・クラシック2024 まほうの夜の音楽会~OurWish未来へ~」へ行ってきました。
 
そして、生まれて初めてサイリウムを手にして大号泣した話です。
 

体は元には戻らない

7月末に体に違和感を覚えて速攻受診。近場のお医者さんは私にMRIは明後日、結果は来週……と言い放った。待ってたらそのうち救急搬送されるだろうなという直感があったので、頭を下げて紹介状を書いてもらってそのまま直で大病院へ。案の定即入院即手術。主治医からは「ちょっと厄介かもしれないぞ」みたいな雰囲気が出ていた。
言い渡されたのは結構トンデモナイ病で、医者の前で「ワ、……ワァ……ッ!!!!」ってリアルに声でました。元よりヤバいのを長らく患っていますがさらに加えて早期ログアウトが早まる予感にまあまあどうしようもない、という空気漂う診察室。流石の流石に母親に泣かれた。
 
なんかそんな感じになると、当然人は脳の思考回路が焼き切れ何も考えられなくなり、口も回らなくなって、脳の活動が停止する。生きている意味とは……人生とは……。何のために生まれ、生きてきたのか……。 この体はもうとっくに耐久年数が過ぎているから、無理して使うとこうなるんだな……もう人生やめよっかな。今やめたら楽だろうな。
 
心底思いながら過ごしていたとき、偶然目に入ったのが「ディズニー・オン・クラシック2024」だった。
 

たまたま見つけた「ディズニー・オン・クラシック2024」の宣伝

「何か刺激を受けないと好転しない」直感だけはあった。他力本願寺にするにしても、これはもう他力がなんとか出来るものでもない。いつまでも家族を泣かせているわけにもいかない。検査してもらうにも体力が必要。なんとかして歩かないと。でもどうやって。 心を奮い立たせてくれるものがない。奮い立たなければ戦えない。戦えるようにならなければならない。
 
そんなときに目に入ったのは、惰性で届くのを許可し続けていたコンサートホールのメールマガジン。大昔の私が「何か面白いものがあったら観に行こう」と調子こいて登録したやつ。それからn年。一度も行ったことはない。
 
 
届いたのは「ディズニー・オン・クラシック2024の前売りチケットが好評発売中だよ」という内容のメールマガジンだった。 ずっと「いつか行きたいな」で先送りしていた、ディズニー・オン・クラシック。もう10年30年と言わず、あと数年無事でいられるかも分からない身になった私は、すがるような気持ちでチケット販売ページを開いていた。
 
"今"見よう。今以上にディズニー・オン・クラシックに行く理由は見つからない。 どこでもいい。一番うしろでも、やたら高いSS席でもいい。どこでもいい。「あー、行けばよかったな」とか出来れば言いたくない。行けるなら今行け。金はどうでもいい。一公演分より遥かに治療費の方が高い。 今見つけたのならコレが運命だ。今だ。
 
ぱっとみたチケット販売ページには、残り数席だった。クソデカホールでたった数席。3つぐらいしかない。 どうせなら一番いいところ。今のところS席?A席もある。12月、健康かどうかもわからない。最悪入院している可能性もめちゃくちゃある。いけるメンタルにないかもしれない。1万円近くの金をドブに捨てるかもしれない。
何も自信がない。12月、立っていられてるかもわからない。
 
いいや、かまわん。S席だ。
私は今抱いたこの決意を買うんだ。
 
2024年のディズニー・オン・クラシックは11年ぶりの「リトル・マーメイド」 一番好きなディズニー映画だ。
 

人がライブに行くのにダイエットをする理由を知る

大病に喚かれても困るため、チケットを買ったあとから数ヶ月ほど、頑張って「普通に歩いて回れるほどの体力」と「人混みの中にいても大丈夫なくらいメンタルを安定させよう」と思った。あとは12月だから、うっかりインフルエンザとかを持って帰らないくらいの抵抗力。そして、できればちょっと痩せて、スカート履いていきたい。S席だし。
 
あ……人がライブに行くのにダイエットをしたり身なりを整えるのはこういうことなんだな、と理解した。 一回しかないその日を楽しみにしながら、めいっぱい楽しめるように自分を整えていく……。ラスボス倒しに行くのにレベル上げる勇者みたいだな。なるほど……。
 
結構たいへんだった。めげそうになったが人生損しかしてないと思って、自転車を漕ぐのも続いている。ソシャゲに課金して★5が出たからこのクソ長いストーリーやらないと、みたいな気持ちに似ている。
 

なんとかかんとか這ってきた。

幸いにも、12月入って血液検査諸々の数値は安定していた。大病も今だけは「黙っておいてやる」ということなのだろうか。ありがたい。それでは行かせていただく。
 
長い待機列に並んで入場。その瞬間からエントランスに流れるディズニーソング。 前にいたお姉さんたちが「なんかディズニーに来たみたいだね」としみじみ。私もしみじみした。ディズニーの音楽って、その場をディズニーにしてくれる。夢と魔法を感じさせてくれる……。
 

会場物販で生まれて初めてのサイリウム

中にも長蛇の列が出来ていた。会場物販だ。せっかくだからと並んだ会場限定のガチャガチャピンバッチでは、ミニーとミッキー、アリエルがでました。大喜び。運が良すぎ。 で、物販。どうしよう……。パンフレットは本棚がいっぱいで置けるところがない。……でもせっかくのアリエル。次アリエルをやってくれるときに人生どうなってるかもわからない。せっかくだから、今年の今のこの気持ちを残しておきたい。
 
クリスマス限定のキーホルダー悩んでたら完売してちょっと後悔している。でもクソデカキーホルダーつけるところないから、まぁいいかな……
クリスマス限定のキーホルダー悩んでたら完売してちょっと後悔している。でもクソデカキーホルダーつけるところないから、まぁいいかな……
 
サイリウム…………あるじゃん。
私はオタクでありながらライブに全くと言っていいほど興味がないタイプなので、今までサイリウムという類のものを持ったことがなかった。花火を振り回したことのほうが多いまである。 人生初めての……自分だけのサイリウムがディズニー・オン・クラシックで、アリエル11年目の再公演で、大病患った年で……。
買うか……。記念に。
 
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そして驚くほどに真正面な席にビビりながらも着席。すごいなS席。そしてステージがキレイ……。アリエルってキレイだな……。 座って、我慢がきかない子どもみたいにガサゴソサイリウムを取り出して、ボタンをぽち……。
 
うわー!!!!!!!!!!!すごい!!!一色だけじゃない!!!色んな色がある!!! レインボーにもなる!!!!!!!!すご!!!!!!!うわー!!!!!!!!!!!!!!!
 
なんかもう感極まってこの時点で泣きそう。キラキラしてる……。アリエルがテーマだから青色かわいい。 いつ振るんだろう……楽しみだな……だいたい予想はできるけど……(よぎるセバスチャン)
 

感動しかしてない

前半は「OurWishes」のテーマに沿って、ピーターパン2のメインテーマから始まり、ビアンカの大冒険やブロードウェイ版アラジンの曲、カラー・オブ・ザ・ウィンド……キミがいないと、ウィッシュ……。
一番泣いたのは、ビアンカの大冒険「誰かが待っている」でした。
 
 
もう、なんか……たまんなくなって……勝手に涙が……。 震えてきて、なんかもう……ダメで。胸にしんしんと降り積もる歌声が、歌詞が……もうすごくって。
なんか、希望を捨てては行けないな、って。誰かが待っている。そうだね……って。 是非ともSpotifyやAppleMusicでも聞いてみてください。いい曲なんだ……これが。
 
あと、スター・ウォーズの組曲もあった。デデデデーーン!!!って鳴り響いた瞬間、宇宙を感じた……。スター・ウォーズもめちゃくちゃ好きで、小説とかも読んでいた頃があるので手汗かくぐらい興奮した。 やっぱすごいよ……。音楽で宇宙に連れて行ってくれるんだもんな……。
 
前半は割とあっという間に終わった。もう休憩!?そんな……嘘、さっき始まったばっかり……。
 

後半からはリトル・マーメイドを映像つきで22曲……22曲!?

22曲ってつまりはもうフルなんよ。なんなら「ブロードウェイ版リトル・マーメイド」から、特別にエリック王子の曲を持ってきてくれてますからね。エリック王子歌うところあるんだ!!!!!!ブロードウェイ版!!!!???!!!すごい!!!初めて聞く!!!!!!
 
 
メインテーマから何まで全部映像とともに奏でられるリトル・マーメイド……。 トリトンパパの王宮でお姉さんたちが「うちの妹が今日デビューします!」みたいな曲を歌ってくれるんだけど、おかしいな……7人歌手の方がいて3人男性なのに、アリエルのお姉さんたち全員の声がするな……。(すごい高い音を出しておられた……女性にしか聞こえなくて耳を疑った……。すごすぎるだろ)
 
パート・オブ・ユア・ワールド聞いて、もうボロボロに泣きすぎてボロになっちゃったわね……。 生きててよかったって……心底思った……。やめちゃわなくてよかった。今夜のために、いろいろ……いろいろ、ほんとうに、できなくなったありとあらゆることを、もう一度、色々ほんと……ね……。もうなんか……、何もかも戻らないけど、ディズニーはいつだってディズニーを初めて観たときの気持ちにしてくれるんだ……。
 
あとはね……予想通りにアースラが凄まじい迫力あった。映画そのまんまの歌い方をしてくれるし、ドレスを翻して「ボディランゲージ!ハッ!」ってしてくれるのテンション上がった。アースラだ!!!!!!!!!!!!!!!!! もちろん、映画版の歌手の方ではないのは分かってるんだけどあんまりにも似すぎているし同じ歌い方してくれるし、口からCDにもほどがあるというか……それよりにライブ感が加わってすごい、"圧"がある。厚みがあるし、重みもあるし、迫力が凄まじ~~~~~~!!!!!!!
 
エリック王子の曲も思ったよりすげえ感情が重くてよかったな……。めちゃくちゃ命の恩人アリエルに対して重い感情持ってるじゃん……。絶対探し出して結婚したいじゃん。そりゃヴァネッサがそうかもしれんと思ったらオープンマイ・ハートしちゃって漬け込まれるのも無理ないかなって……。いや、アースラが強すぎるんだと思いますが。 すげえ重い男じゃんになった。ブロードウェイ版ってまたちょっと映画とニュアンスが違うのかな。面白いな……。
 
キス・ザ・ガールもアンダー・ザ・シーもすごい盛り上がった……。アンダー・ザ・シーは嬉しくてサイリウムふりふりして楽しみました。嬉しすぎるだろ……。みんなでゆらゆら揺れて手を叩いて、一体感があった。その瞬間はなんか辛いこと全部吹き飛んじゃったな。やっぱり海の底が一番かもしれん。
 
クライマックスまでみっちりアテレコありのガッツリリトル・マーメイドだったんですが、私、完璧な映画見に来たかもしれんな……リトル・マーメイドのフルじゃんこれ……フルなんですけど。 最後、トリトンパパが「娘がいなくなるのは寂しい」って言うその"寂しさ"がおとなになってから理解できてしまって、泣いてしまった……。大人にならなきゃわからないよこの寂しさは……。
はーーー………………最後まで本当に楽しかった……。

星に願いを

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最後には、みんなで「星に願いを」を合唱。 いや……もう……ね……勘弁して……もろて……。ほんと……ありがとう…………。
 
もう感謝しかない。こんなに音楽のちからってすごいんだなと思いました。音楽は好きだけど、一人で適当に聞くのとそう変わらないだろうと思ってたんだ……。音質とか、環境とか、別に自分が納得していればいいって。それはそうなんだけど、……みんなで、こういう場で、生の演奏を聞くことの意義みたいなものをちょっと理解できた気がした。
 
コンサートが終わって、人の流れに乗って帰りながらずっとサイリウム握りしめていて、ずっと言葉も出なくて……人の流れから外れて家に帰り始めたときにようやっと「良かった」「すごくよかった。来年もまた見たい」って思った。
 
来年も見たい、再来年も見たい。見れない年もあるかもしれないけど、どんな年でも、ディズニー・オン・クラシックはきっと公演がある。どれだけ厳しい一年でも、頑張ればまた見に来られる。 私が希望を捨てない限り、ディズニーはそこにある。頑張ろう……。
来年はアラジンとかやってくれないかなあ~~……。
 
 
不思議かな、数ヶ月前までは人生やめちゃえなんて真剣に思っていた人間が、来年の12月を思いながら、カチカチカチ……と、生まれて初めてのサイリウムを光らせている。